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妖狐族は他のあやかしと比べ、知能はずっと上で、上級クラスの妖力を持っている。そして礼節も踏まえていた。
たしかに、真尋は押し込み強盗のような真似をしたが、それは腹が減って仕方なくしたことだ。それでもむやみやたらと人を傷つける行為をするつもりはなかった。
相手は無条件で食事を与えてくれる、言うなれば命の恩人だ。その恩人が名乗ったのだ。自分も名乗らないわけにはいかない。
何事も礼節を重んじなければならない。
だがしかし、真尋は長寿の妖狐族である。いくら男に敵意はなくとも、なにかしらきっかけになって命の危機に陥る可能性がある。
真尋はここで自分の名を名乗っても良いものだろうかと考えていた。
すると、弓月の薄い唇が静かに動いた。
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