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第9話
『歩は瑛人に未練がある』
そんなのは最初から分かってた。
俺から離れていくのか……?
…………何もなかったみたいに。
ホテルに連れ込んで、すぐに押し倒す。
「アイツの所に戻りたかった?」
聞いたってもう遅い。
「ん!あぁ、アッ!」
雑に慣らし無理矢理繋がる。
…………なんでアイツなんだよ!
俺と関係持ったの、後悔してる……?
あの時 聞けなかった言葉。
『まだ、瑛人が好き?』
俺だったらお前を泣かさないし、ずっと側にいる。身勝手な元彼に負けたくねぇ。
アイツの所に行くなよ……
俺がお前を大事にするから……
「好きだ。歩……」
もう隠せない。
嫉妬と独占欲にまみれる。
セフレだなんて不確かな関係じゃ、これ以上、歩を縛れない。
「海で会ったあの日から……
寝てからは歩が可愛くて可愛くて……
気付いたら好きになってた。
あんな奴忘れて俺のものになって。」
押さえつけながら奥まで挿れる。
「ヤッ!激し……
もっとゆっくりッ!んん!」
こんな可愛い顔、アイツにも見せてたかと思うと腸が煮えくりかえりそうになる。
「可愛い。歩。好きだよ。
ねぇ。うんって言って」
「あぁあーー!」
可愛い歩。
多分、二度目の恋。
「セフレじゃなくてお前の特別になりたい。」
目を覚ました歩に伝えた。
脅して関係を迫って、毎日、ヤッてばかりだったから信用なんてあるはずもないけど。
芽生えてしまった愛しい気持ち。
「歩。大事にするから俺と付き合って。」
「ごめん。俺……」
…………少し位、考えろよ。
「歩が好きなんだ……」
本当は最初からお前に惹かれてた。
気障なセリフなんて一つも出てこない。
お前への想いを繰り返し、伝えるだけ。
「今すぐじゃなくていいよ。
元彼の事、引きずってるの、知ってたし。
いつか俺のこと考えて。」
…………惚れた弱みかな。
お前と一緒にいられるなら、なんでもいい。
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