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第10話

告白してから一度もやってない。 誠意を見せる為だ。 ほぼ毎日してたのに、もう何日目……? …………馬鹿な約束しなきゃ良かった。 一人で眠るのは寂しい。 触れたい…… キスしたい…… 歩を抱きしめたい…… ラインを開く。 〈今日、夜、飲みに行かない?〉 すぐに既読はついた。 歩〈OK〉 いつも誘うのは俺。 少しずつ虚しさが募る。    …………もし、俺が誘わなかったら? 誘うのをやめたら? そっと唇を噛み締めた。 悩んだって無駄だ。 歩が好き。 俺の気持ちは変わらないんだから…… 一方的でも……なんでも…… …………お前に会いたい。 口実が欲しくて弁当を作り、昼休みに渡しに行った。 会議室に無理やり連れ込む。 「弁当の礼、ちょうだい?」 「……ん。」 久しぶりのキス。 触れただけで体が熱くなる。 引き寄せられたら、煙草の香りがする。 アイツと同じ…… 深いキスを迫ったら、押しのけられた。 「ひ、人が来たらどうすんだよ!」 「誠意見せるって言っただろ…… 抱きしめるだけ。」  「……」 お前がいないと寂しい…… 口に出せない想いを胸の中に押し込める。 「はぁ……抱きたい」 「阿呆か!ここは会社!」 「早く俺の事、好きになって。 好きだよ。歩……」 歩は何も答えない。 …………でも、本当はどこかで分かってたんだ。 歩が求めているのは…… ………………俺じゃない。

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