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第12話

眠れない………… 静かな真夏の夜。 口寂しくて冷蔵庫を開けたら、チョコレートの箱が目に入る。歩の忘れ物だ。 歩はチョコが好きで、よくコンビニで買っては冷蔵庫で冷やしてた。 一つ、つまみ、口の中に入れた。 「…………甘」 二人で一緒に飲んだビール。 飯を作ったり、お笑いを見たりゲームしたり、二人で一緒にいると楽しかった……   冷蔵庫を閉め、寝室に向かう。 二人だと狭かったベッド。 一人だと効きすぎるクーラー。 思い出すのは歩の笑った顔。 泣いた顔に照れた顔。 体温の高い体。 いい加減、忘れたいのに………… …………もう会えない。 胸に穴が開いたみたいな喪失感。 何をしててもお前を思い出す。 ………………夜が嫌いになりそう。 ピーンポーン こんな時間に誰だよ…… 最近、ヤケにこの時間帯に来るな…… どうせ勧誘かなんかだろ。 面倒くさくて見に行かなかった。 歩…… 今、何してる? 瑛人と一緒…………? クソ…… 胃がキリキリ痛む。 離れてから気付く。 会えなくても考えるのは、歩の事ばかり。 俺は自分で思ってる以上に歩が好きだった。 歩が大切だったんだ…………

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