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第14話

…………人生で初めて思い知った。 自分の気持ちなのに、自分で思い通りにならない想いがある事。 会いたくて会いたくて仕方なかった。 抱きしめた手が震えてる。 なんで俺を待っててくれたかは分からない。 でも、歩の涙を見たら我慢できなかった。 「…………好きだ。歩。」 目が合っただけで…… 抱きしめてるだけで………… …………気持ちが溢れる。 大人の振りをして理解してるつもりになって、距離を置いてた。 …………こんな事されたら諦められない。 手を引いて寝室に連れて行ったら、歩は抵抗もせず黙って付いてきた。 ………………瑛人の事はいいのか? ちょっとは俺の事、好き?  もしかして二股? 一途な歩が…………? …………でも、もう離れたくない。 歩のいない毎日はあまりに辛くて虚しかった。 考えようとする気持ちに蓋をする。 …………歩が側にいる。 それだけでいいと思ってしまった。 ベッドに押し倒すと涙目の歩と目が合う。 引き寄せられるみたいに唇を重ねた。 久し振りのキス…… 頭が甘く痺れて思考回路が止まる。 何度も繰り返した。 「…………歩。」 名前を呼んだら、歩はまた涙目になってる。 「……は……づき……」 キスして指を絡ませて大事に大事に抱いた。 好きだ………… 歩が好き。 …………他には何もいらない。 「泣くなよ。歩……」 背中に歩の腕が回ってきて、俺まで泣きそうだった。 寂しさを埋めるように体を重ねる。 愛しくて 愛しくて 自分をセーブ出来ない。

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