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【ハレンチ封印】弓葉
いつもなら絶対に行かない蔵。誰かに操られたみたいで気づけば、蔵の中にいた。おかしいな……と思ったけれど、ふと目に入ったのは竹で編まれた籠。玉手箱のような大きさのその箱を手に取れば、もわっと溜まったホコリが舞う。
「ゴホッ、ゴホッ……」
思いっきりホコリを吸い込み噎 せた。手で顔の周りを飛ぶホコリを振り払っていれば、手が滑ってしまい箱を落としてしまう。地面にぶつかった箱からガタガタと音がしてヤバい壊したかもと、慌てて中身を確認すれば巻物1つしかなかった。
「これだけ?」
あんなに盛大な音がしたのに巻物しかなくて、おかしいなと思った。巻物を手に取り色んな角度から見てみたけど何も壊れていない。キチンと紐で固定されている。これはもしかして中に何かが入っているかも、と巻物に巻かれた紐を解いて広げると……
ボフン……!!
巻物の中から白い煙が出てきた。
「ガハッ……なんだよっ!これ!!」
クソムカついて巻物を投げたら、顔に何かが当た……というより、手だ!人の手!!
「うわあああああ!!」
幽霊が出た!と大声で叫んで両手をブンブン振り回した。っていうか、本当は蔵から飛び出したかったけれど怖くて逃げれない!
「うるさいですぞ」
白い煙が消えて、居たのは幽霊ではなかった。キツネの耳をつけたクッソ怪しいやつ。漫画に出てくるような白い毛並みじゃなくて、動物園にいるような茶色の毛並み。
「どこから来たんだよ!離せ!!」
なんとなく殴ったって許されそうな感じだったから持っていた巻物で、目の前にいるキツネの頭をぶん殴った。
「痛いではありませぬが!!」
叩かれた頭を抱えながら涙目になって、その場にしゃがみ込みキッと睨んでくる。コワッパのクセにとぶつぶつ言いながら。
「お前、誰だよ!!勝手に入り込みやがって」
「それはこっちのセリフじゃ!儂はここにずっとおったわい!!」
「は? 何言ってんだよ。ここは俺ん家の蔵だぞ!!不法侵入者はお前だろうが!!」
「ふんっ……言葉遣いの汚いやつじゃ。まぁよい、久々に出られたのじゃから楽しむかの。ところで、小童 キツネの習性を知っておりますかな?」
「習性?なにそれ知らん。興味ない。さっさと出て行け」
「なんてつれないやつじゃ。あ、な、ほ、り、よう覚えておくことじゃな」
「わっ!!」
のんびりした話し方なのに動きがクソ速い。片手で簡単に両手をねじ伏せられ押し倒される。蹴飛ばして起き上がりたいのに、ふとももへ片足を乗せられただけで重くて動かなかった。
「見れば若人、ここはきっと美味なのでしょう」
じゅるりとわざとらしく舌なめずりをすれば犬歯が見えた。穿いていたズボンを鋭い爪でズタズタに切り裂かれ、中学の時から穿いているゆるゆるパンツも、さよならする。
「おい!制服高いんだぞ!母さんに怒られるじゃないか!!クソキツネ!弁償しろよ!!」
「そっちの心配をしとる場合かの?」
キツネは蕾に指を置いた。長く鋭い爪が地肌に食い込み怖くて身動きが取れなくなる。
「ほぅ……急に大人しくなったな。最初から素直になっておればいいものの。手こずらせおって」
あぁ、もうダメだと諦めかけた時、ズボンの後ろポケットからソフトテニスボールが転がった。
白くてぷにぷにしたそれは、ころころと転がり、止まる。ボールが止まった瞬間、キツネはボールに食いついた。勢いよく踏まれたボールは変形し蔵の中をビュンビュンと暴れ回る。キツネは追いかけるのに夢中になり、俺の存在を忘れた。よし、今の内に蔵から脱出しよう。
「いや、こいつをこのままにしたら色々とヤバくね?」
確かめるように声を出し、振り返る。今はボールに遊ばれてるが、飽きたらコイツは蔵から出てくるかもしれない。そうなったら、大騒ぎになってめんどくさい事になる。勝手に蔵へ入ったのもバレるし、外に出しちゃいけないものを出したと責められそうだ。
キツネを見るとボールを手で押して遊んでいる。その姿を見れば全然怖くない、隙だらけのキツネを封印するのは今だ!
そうと決まれば、巻物探し。巻物を触って出てきたのだから、アレにキツネをどう扱えばいいのか書いてあるはず……。
いざ巻物を探そうと蔵の中を見渡せば、キツネが暴れ回って蔵の中はめちゃくちゃに荒らされていた。これを後で片付けるのかと思うと鬱になる。早く何とかしないと……!!
プシュ!
「あぁ!!丸いたまたまが潰れてしもうた!!」
やばいやばいやばい!ボールはあの一個しか持ってきてなかった。代わりになるもの、代わりになるもの……必死に考えるけれど焦ってしまって思いつかない!
どうしよう! どうしよう!!
「おい、もうないんか?」
ボールを追いかけていたせいで、かなり野性的な目をしていた。瞳孔が開ききって今にものど元へ飛びつかれ食べられそうな勢い。
「ヒィイ!」
一歩踏み出しただけで、こんな状態。封印するって言ったの撤回したい。
「お主なんちゅう声をだしとる」
高い音は嫌いなのか頭についたキツネの耳を手で抑えしゃがみ込んだ。あんなに振っていた尻尾も大人しく下に垂れ下がっている。
「あ、なんかかわいい」
そう思い出したら止まらなかった。自分からキツネに近づき、逆にキツネはイモって 離れようとする。もちろん、離れたら意味ないからグッと距離を詰めてみた。キツネもまさかこんなに近距離になると思ってなかったみたいで、すっかり大人しくなる。
ガッと手を髪の毛の中に入れた。さらさらと動く髪の毛の動きからして、やわらかい。そのまま手を移動して、目的のキツネ耳を触ろうとすれば手首を掴まれ止められた。
「調子に乗るなよ、小童」
「触られるのが、怖いんだ」
「こ、怖くはないわい!」
「じゃあ、触らせてよ」
「ふんっ!勝手にせい」
簡単な挑発に乗ってくれたおかげでまた触れた。そして、意外と長い時間触らせてくれる。ピクピクと耳を細かく動かしていながらも嫌がったりはしなかった。だけど、ジッとできないみたいで足を何度も組み直したりソワソワし始める。
「次、尻尾触るよー」
「お、お主、儂が許可する前に触れ……はぅ~」
「やっば……気持ちいいね」
触れている手先が吸い込まれそうな、ふかふかさ。尻尾の毛先から少しずつ根元に移動していけば、キツネはガクンと腰を抜かした。
「あーなんだっけ。キツネの習性……そうそう穴掘りだ。かわいいキツネさんに、掘る楽しさより、掘られる楽しさ教えてあげる」
と言ったのはいいけど着物の脱がし方がさっぱり分からない。適当に出ている帯を引っ張ると痛そうに股間を抑えたキツネ。「この乱暴ものっ!」涙目でもふもふな生き物、怒っていてもかわいいしかなくて興奮する。
「あーごめん、ごめん。脱がし方分かんないから脱いでくんない?」
おじいちゃんみたいに文句を散々まき散らしながらも脱いでくれるキツネ。これ絶対イヌよりのキツネだ。すごい長髪だから体毛も野生かな~って思ったけど、ツルツルだった。残念。
「なんじゃ、脱いだら溜息つきおって!無礼にも……」
キツネのくせに俺よりよく喋るからキスをした。口の中は臭いかもしれないと覚悟のキスだったけど、無臭だ。さっきチラリと見えた犬歯を舐めたくなって口を大きく開けば、キツネの鼻息が荒くなる。
「きゅぅうん」
口から離れれば甘えるようにのどから鳴いたからやっぱりこいつは、イヌかもしれない。片手で尻尾を撫でながら、もう片方の手で蕾に触れる。指がスッと入ったからもう準備はできてそう。
「ッハ、ハッ、ハッ……」
だらしなく舌をだして足を広げるキツネ。もうこれは、イれてもいいよな。剥き出しだった自身をキツネの蕾に添える。クプリと先端が入れば吸い込まれるように中へ入っていった。
「なっ、にこれ、ヤバすぎる……!!」
腰を激しく動かせば、尻尾がきゅうと巻き付いてくる。かわいくて根元付近を擦ってやったら、中が締まった。尻尾って急所だから触られるのが嫌なんだと思ってたけど、性感帯なんだ。覚えとこ。
「んあ!あ、ひ、やぁ」
あ、出る。
尻尾をキュッと軽く握りながら白濁を吐き出せば、キツネは巻物へ吸い込まれるように消えた。
「え……?」
ぽたっ……と、残った白濁が蔵の床を汚す。全部持っていけよ、と思いながら残った白濁を空しく自分の手で出した。
すると、巻物が中身を広げながら転がって来る。他は黒い墨で書かれているのに、一カ所だけ朱色の墨で書かれた達筆な文字。『再び封印したければまぐわえ』意味は分からないけど、キツネが消えたからセックスしろという意味っぽい。
なんとハレンチな封印方法なんだ!でも、またあのかわいいキツネに会いたくて蔵からこっそり巻物を盗んだ。
【完】
[感想はこちら→弓葉(@yumiha_)]
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