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夜中にハッと目が覚めた。
また、あの頃の夢を見ていたようだ。
忘れたいのに、忘れられない。
あいつに弄ばれていた日々を。
僕は体育座りのまま、両手で自分の肩を抱いた。
僕は、高校生になると同時に、あいつ(もう父さんだなんて呼ばない)から離れて独り暮らしを始めた。
あいつの隙を見て、親戚に助けを求めたのだ。
親戚は常識的な人達で、僕の母の再婚相手であるあいつを快く思っていなかった。
だから、僕の訴えを信じてくれて、僕からあいつを引き離してくれた。
僕は、住んでいた家から離れた街へ引っ越し、独り暮らしをすることにした。
親戚の支援で、その街の高校にも通わせてもらうことになった。
幸いな事に親戚の家庭は随分裕福のようだった。
一緒に暮らす事も勧めてくれたのだが、向こうにも家族と生活があるので、遠慮した。
僕は、高校進学と同時にバイトを始めた。
自分の生活費はちゃんと自分で稼ぐ。
そして、いつかきちんと恩返しをするつもりだ。
ちなみに、
僕の画像や動画が収められたあいつのスマホは、隙を見てぶっ壊してやった。
僕が唯一出来た抵抗だった。
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