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Side 山口陽佳 俺、山口陽佳(ひよし)は、体育教師をしている。 体育教師として当然だが、球技全般、陸上、水泳、「運動」と名のつくものは全てお手のものだ。 ただひとつの「運動」を覗いては。 それは、ダンスだ。 ダンスは、運動神経や体力、筋力以外にセンスが求められる。 俺はダンスだけは苦手だった。 ダンスが必修科目になってからは、もう最悪だ。 なんとか生徒達に見せられるレベルになるまで、 寝る間も惜しんで練習に練習を重ねていた。 おかげで今日も寝不足だ。 おまけに1時間目からダンスの授業とは、なんて日だ! そんな心の叫びを胸に内に留めながら、今日も教師スマイルで授業を進めた。 まぁそもそも、こいつら生徒もダンスなんて初心者なんだから、結局のところ、どんぐりの背くらべだ。 初心者が初心者に教えるというこの構図、なんとかならないもんかね。 そんなことを考えていると、たどたどしく動く生徒達に混じって一際キレのあるダンスをしている子がいた。 誰だ? あんな生徒いたか? 高校生にしては小柄で、男子にしては色が白い。 おまけに女子のような顔をしている。 それでいて、ダンスのキレには目を見張るものがあった。 動く度なびく黒髪 すうっと滴る汗 大きな目 細い手足 どこか憂いを帯びた表情 体育館の窓から入り込む朝日が彼をキラキラと照らす。 そんな彼から、 俺は目を離すことが出来なかった。 それが、俺と空の初めての出会いだった。

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