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Side 山口陽佳
生徒じゃなければ半殺しにしていた。
結城が、あのワル4人組に連れて行かれたというのを見た生徒から聞いて、探し回った結果がこれだった。
もっと早く来てやれば…。
悔しくて仕方ない。
俺は、全裸でぐったりとしている結城を抱き上げて言った。
「ごめんな、もっと早く来てやれなくて」
返事はなく、小刻みに彼は震えていた。
あいつら4人の処遇はあとで考えるとして、まずは、結城を助けてやらないと。
「とにかく、保健室に行こう」
俺は自分の上着で彼を包みながら言ったが、彼は俺の袖を掴み震える声で言った。
「ほ、保健室は…、いや、です」
「なんで、あ…」
それはそうだ。
彼は、自分が何をされたのか知られたくないんだ。
それが保険医であろうが誰だろうが、知られたくない事に変わりはない。
でも、そうなるとどうすればいい?
少し考えて俺は言った。
「じゃあ、とりあえず俺の家に行こう。このまま体育館裏の俺の車まで結城を運ぶ。家まで車で15分くらいだ。いいか?」
結城は小さく頷いた。
俺は急いで結城を車へ運び、彼の制服と鞄も車へ放り込む。
そして、自分の荷物と車の鍵を職員室へ走って取りに行った。
もう定時を過ぎていていたので、挨拶だけしてすぐに職員室を出た。
仕事なんて明日でいい。
そして、結城を乗せた車を家に向けて飛ばした。
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