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「大丈夫か?」
結城に声をかける。
元々色白の顔がさらに白く見えた。
「はい。あの、ありがとうございました」
ペコリと頭を下げる。
礼儀正しい子だな、と思った。
「いや、いいんだ。礼なんて」
そして、沈黙が生まれた。
俺は彼に何て声をかければいいのか。
こんなとき、なんて言ってやればいい?
俺は言葉を探していた。
結城も何を言っていいのかわからないようだった。
あまりに静かな部屋に、お互いの息遣いだけがきこえた。
「じゃあ、僕そろそろ…」
「ダンス、教えてくれよ!」
結城が帰ると言おうとする前に、俺は言った。
「…ダンス?」
結城は、何の話だろう、という感じで首を傾げていた。
そりゃそうだ。
俺だって何言ってんだって自分で思ってる。
「あぁ。ダンスを俺に教えてくれ。結城、うまいだろ?俺は先生だからダンスの授業をしなきゃいけないんだが、ここだけの話、どうも苦手なんだ」
不思議と言葉がすらすらと出てきた。
「放課後とか、時間があるときでいいから。帰りも車で送ってやる。だから、よかったら教えてほしい。まぁ本来、俺が教える立場だから、逆転しちまうけどな」
俺は照れ笑いを交えてそう言った。
結城は少し驚いたような表情をしていたが、黙って聞いてくれていた。
そして、
「僕でよければ」
と少し笑って言った。
「あぁ、結城がいいんだ。ありがとう。」
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