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Side 空
その日は先生が僕を家まで送ってくれた。
次の日は、学校を休んだ。
あまり体調がよくなかったのもあるけど、やっぱり行くのが怖かった。
その日はずっと布団から出なかったけど、夕方頃、スマホが鳴った。
サキヤかと思って見たら、先生からだった。
昨日、番号を教えてもらっていた。
僕は電話に出た。
「…もしもし」
「結城か?」
「はい」
学校に来なかった事を怒られるのかと思い、膝を抱き寄せた。
「あいつら、退学にしたから」
「…え?」
「あの4人組、退学にした。もう学校には来ない。」
「そう、ですか…」
それを聞いて、少し安堵した。
「明日の放課後、ダンス教えてくれないかな?」
先生が言った。
僕は黙ってしまった。まだ学校に行く事に躊躇いがあった。
「俺が結城を守る」
僕の心を読んだように、少しの沈黙のあと、先生が言った。
「俺が絶対にお前を守るから。代わりに、結城は俺にダンスを教えてくれ」
優しかった。
電話口から聞こえる先生の声は、今まで会った誰よりも優しかった。
僕が学校に行く後押しをしてくれているんだとすぐに感じた。
守る、なんて誰かに言われた事がなかった。
涙が1筋、頬を伝うのがわかった。
泣いていたなんて、
涙が目から溢れるまで、自分で気付かなかった。
「…結城?大丈夫か?」
先生の心配そうな声が聞こえた。
「っ、はい。明日、ダンス教えます」
僕は答えた。
明日は学校に行こうと思った。
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