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暫くして、ラーメンが来た。 「あ、おいしい」 ひとくち食べた結城が言った。 よかった、気に入ったようだ。 「うまいだろ?」 そう言って結城の方を見た。 こんなに近くで結城の顔を見たのは初めてかもしれない。 結城の横顔は、鼻筋が通っていて、肌も艷やかで、ニキビひとつなく、とてもきれいだった。 美少年ってこういうこと言うんだな、と俺はしみじみと感じた。 こんな可愛い少年と、俺みたいな熊男が一緒にいるって何か不思議だな。 周りからはどう見えているんだろう。 ラーメンを食べ終わり、外に出る。 「お、雨、止んだな。雨上がりの匂いがするな」 「ペトリコール」 結城が呟くように言った。 「ん?なんだそれ?何かの呪文か?」 「雨に濡れた地面や植物が発する匂いの事を、そう言うらしいですよ」 そういって、結城は深呼吸をした。 「僕、この匂い、好き」 そう言って、俺の方を見てニコッと笑う。 恋に落ちる瞬間というのは、まさにこういうときなのかもしれない。 雨の匂い 夏の風 ラーメンの香り 結城の笑顔 俺は、 この15歳も年下の少年を好きになっていた事に気付いた。

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