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第15話

ピーピーうるさかったから、ちょっと静かにしてもらおうと壁を叩いた。 が、壁を叩いただけなのに叩いた部分がピキピキと割れ目が広がってしまっている。 「きゃー!」 「ゴリラ―!」 「は、お前ら、おい!」 誰がゴリラだ。 女と喋るのが苦手で、静かにしてもらう方法がちょこっと分からなかった不器用なイケメンだろうが! ちょっと筋肉はいかついが、顔はそこそこイケメンだろうが。 「先輩、どうしました?」 「熊谷、どうした?」 「炬隈、どうしたっれ、うわ、壁にひびが」 「っち」 慕ってくれる後輩や、友達ならすぐに集まってくれるって言うのに、どうして女は俺から逃げていくんだ。 「なんでもねえよ。それより、バスケ部の部室で寝るから、誰も居れるなよ」 「それはいいけど、お前、授業は? 推薦取り消されたなら、一緒に勉強しなきゃだろ」 「俺でよかったら、手取り足取り……教えてやるよ」 肩に手を回し、やけにボディタッチの多い友人たちを振り払い、振り返る。 俺を迎えに来たのは四人。そして遠くに心配して来てくれて見ている後輩三人。

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