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ガラスの靴はキスマーク。

羊谷 明昌の場合。 「もうまじありえない! まじ最低よね」 「本当! 信じらんない」 ぷんすかぷんすかしながら帰ってきた女子生徒二人に、僕は首を傾げながら手を振る。 「どうしたの? 保健室開かなかったの?」 「違うの。三年のゴリラみたいな筋肉の熊谷先輩が使ってたの!」 「ああ。格好いいよねえ。男の僕でもあの人、ときめいちゃう」 保健室に放置したあの先輩、熊谷って言うんだ。 まああそこまでイケメンなら、確かに有名だろうね。 「駄目。めえ君は、あんな性欲オバケになったらだめよ!」 二人が僕に必死で訴えるけど、笑って誤魔化す。 性欲オバケって言うのは、男にさえ発情してしまうようになった僕のような奴に漬けられる名前だと思う。 「どうしたの? 先輩がもしかして、保健室占領してたの?」 「違うの。顔も見ずに女連れこんで逃げられたみたいで探してたの」 「最低よ。身体目当てなんて。ちょっと格好いいかもしれないけど私無理」 「私もちょっと筋肉質すぎて無理。あと周りの取り巻きが男臭い」 「……へえ」 男臭い取り巻きが多いってことは男に人望がある感じの熱血系イケメンかな。 それとも男を虜にするゲイ? 「ねえねえ、その人って学校じゃいつも男の取り巻きばっかなの?」 「うん。イケメンばっか集まって、バカ騒ぎしてるの」 「めえ君は、あの連中に近づいたらだめよ? 欲求不満で可愛いめえ君を襲ってしまうかもしれない」 「あはは、こわあい」

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