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第28話
「ごめんなさい。ごめんなさい。身動きできないんですう」
必死で横にずれようと試みてくれているが、動かないらしい。
動けば動くほど、手に力がこもり、胸に沈んでいく。
「くぁっ」
「ごめんなさい。痛いですか? ごめんなさい」
「あやまんな。痛くねえよ」
「あの場所変わりましょうか。先輩が窓際に……」
「そんなにしたらお前を守れねえだろ」
黙ってろ、と顎で横を向け、と合図する。
大丈夫だ。胸ぐらい満員電車でたまに当たってしまうじゃねえか。
たまにどころか、頻繁に揉まれてる。が、動けねえんだから仕方ねえ。
そんなこともある。
周りを見てみれば、お互い体を押し付けあって苦しそうだ。
身長が高い分、新鮮な空気が据えている俺はまだましな方だ。
「だから、お前は安心して――んんんっ」
思わず悲鳴を上げてしまいそうになって唇を噛んだ。
当たってる。明昌の太ももが俺の足と足の間に入り込んで、股間に当たっている。
「っく」
明昌は壁に背を押し付けていてもう身動きがとれない。
動くとしたら俺の方なんだ。
腰を後ろに引いたが、曲がるときによろけて前につんのめった。
するとぐりっと明昌の太ももに刺激されてしまう。
「……っ」
駄目だ。胸だって揉まれて、そこまで……。
今朝、あの女に触られてから、放っていない熱がまだ体中から集まっててくる。
ぐり、ぐりっと左右を刺激されて、だんだんとその刺激が心地よく感じてくる。
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