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第39話

「せんぱーい。今日のお礼に、背中、洗いますねえ」 「おい、背中を指でいじいじすんな」 感度もいい先輩は、ちょっと触っただけで借りてきた猫のように飛びあがった。 可愛い。 泡をいっぱいつけた手で、背中をつつつっ――とすると、『ひょいっ』となんとも正直な声が漏れ聞こえた。 泡を付けた僕のちんこで背中を洗いたい。僕だけが楽しいんだけど、やってみたい。 あああ。やろうかな、だって感度のいい先輩が悪いんだし。 そうだ、やってしまおう。 「あのよう、明昌」 「な、なんですか。あの、先輩ならめい君って呼んでもいいですよ」 「じゃあ、めえ。あのよ、今日、保健室にお前を運んだじゃんか」 「はい」 背中を普通に洗いながら、何も面白みはないけれど黙ってうなずく。 「その時によう、貧乳の女が保健室に来なかったか?」 貧乳の女の子って。 思わず吹き出しそうになった。 それ、絶対僕のことじゃないか。 僕のことを誤解したままじゃないか。 「僕、起きてすぐに保健室から出ちゃったから。その、先輩が隣に眠ってるのも知らなかったし」 「……そうか。まあ体調悪かったもんな。観る余裕ねえよな」 ……可愛い可愛い赤ずきんちゃん。 君の隣にいるのは誰でしょう。 「その女の人ってこんな胸でしたか?」 先輩の手を無理やり後ろに持ってきて、僕の胸に充てた。

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