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第42話
「……」
先輩からの返答はない。
何か言ってほしかった。何か否定でもいい。
気持ち悪いって言われたら、ぞくぞくしてしまう。
でも、今日一日で僕の気持ちはフル回転して一周して生まれ変わったんだ。
目の前の、足をおっぴろげた筋肉質な、顔だけがいいこの先輩にどうしても欲情してしまう。
一目会ったその日から、ぶち犯したくなる日もあるんだ。
恋とは理性でするものではない。
本能でするものであって、体臭とか汗とか筋肉とかに興奮してしまうんだから、これはきっと真実の愛なんだ。
「お前、それでいじめられたりしてんの?」
「いえ。今日気づいたから」
「そうだったな。ま。いじめられたら俺がぶっ飛ばしてやるよ」
近づいてきた先輩が、僕の頭をわしゃわしゃ撫でてきた。
それがうれしくて見上げる。
「巨乳好きや貧乳好きもいる。性癖なんかで俺は差別しねえよ。店に、ゲイの人も来るしな」
「先輩……」
「まあ、あれだな。お前なら可愛いから男も女も」
「好き……」
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