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熊谷 炬隈の場合。

熊谷 炬隈の場合。 何を隠そう、俺は同性からあこがれの意味で告白をされたことが何回もある。 先輩からはなぜかセクハラもされたことがあるし、ラーメン屋にくるゲイバー店長からは、店で働かないかと勧誘を受けたこともある。 顔は悪くないと自負しているのだが、如何せんなぜか女ではなく同性が寄ってくる。 俺は俺で、平凡な人生を歩みたいのに、だ。 そして目の前の、かわいい顔した明昌もだ。 女みたいな顔しておきながら、ちんこもお腹もばっきばき。 筋肉がちゃんとついている。 そのせいなのか、湯船から立ち上がろうとした俺は奴に足に絡まりびくともしないのだ。 これはおかしい。 そして目が違う。落ちそうな大きな目が、野性的に光っている。 「先輩、僕と結婚してくれるって言うまで離しませんよ」

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