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第49話
「おい、炬隈」
親父が明昌を背にかばうと、俺の前に立ちふさがった。
「確かに男にはブツの大きさはプライドにかかわるかもしれねえ。だが、後輩の方が大きかったからって、お前が拾ってきた男だろ。ちんこで負けたなら、チンコで勝てばいいだろうが」
「……なんだよ、ちんこで勝つって」
「そりゃあ、形? 持続性? 色とか、まあ色々あるじゃねえか」
「てめえに聞いたのが間違いだった」
どれもこいつに勝てる気がしねえ。
「おい。よく聞けよ。俺は男だ。そしてお前も男だ。わかるな」
「わかってます。それでも、先輩を僕の女にしたいんです」
明昌の言葉に、親父が俺と背に隠した明昌を何度も見る。
無理もない。羊の振りした狼が、グロい言葉を口にしたからな。
「強姦とレイプと鬼畜プレイはしません。先輩が純情路線で行くっていうなら、僕は真実の愛を貫きます」
「腰を揺らすな」
親父はふらふらと俺たちの間から抜け出すと、魂が抜けたような顔で皿を洗い出す。
放心しているという言葉がぴったりのようだ。
「まあ、俺は他人の恋愛に口は出さん。ガキが一人増えるようなもんだ、な」
ぶつぶつと、納得いようとしているようだ。
納得すんな。全力で反対して来いよ。
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