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第58話

ちゃぶ台の上に、バラの花が一凛飾っている。 それだけじゃねえ。足の踏み場もなかった居間が、綺麗に整理整頓されすっきりしている。 久しぶりに畳が顔を出している。 「妻の役目なので頑張りました」 「おまえが?」 驚いて後ろを向く。嘘だ。縛られていたはずのこいつができるわけ――。 「うちの会社の、その道のプロを呼びました」 「……は?」 「ラブホテルの清掃のプロってことですよ。どんなにぐちゃぐちゃになったシーツのベットでも、10分で高級ホテルのように整えてくれる、絶対にお待たせさせないラブホ清掃のプロの山田さんと飯島さんです」 「誰だよ! ってかお前じゃねえのかよ」 「僕は縛られていたので」 「……すげえ、洗濯物がトーテムポールのようにきれいにたたまれて重ねられてる」 「うちのラブホは食事もおいしいですよ。さ、来てください」 うちのラブホは、朝ご飯無料サービスがデフォだ。 朝ステーキと豪華な名前の食事を、ちゃぶ台に並べた。 「さあ、弟君たちもどうぞ」

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