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第59話

「朝から、なんでこんな豪華なんだよ」 「そりゃあ先輩に精力つけてほしくて、僕みたいに」 「太ももを撫でるな、変態」 急いで飯を食べて、バタバタ用意する。 「お前も急げ。電車も一本遅くしたらまた満員電車だぞ」 「え、ええ。でも先輩となら密着したい……」 「いいから急げ!」 明昌を蹴飛ばして無理やり用意させると、家を飛び出した。 肩にほぼ担いで走った。 空いてはいないが、この時間帯ならば体が密着するほど混んではいないから助かる。 「お弁当、忘れたああ」 「あ? コンビニでおにぎりでも買えばいいだろう」 「先輩と同じお弁当の中身! ってやつをしたかったんですうううう」 「キーキー、女みてえにうるせえな」 肩から降ろすと、見上げてくる。 その顔は、変態だと知らなかったら可愛いと思えてしまう。 変態だと思わなかったら、背中に羽が生えていても似合いそうな美少年だ。 それがどうして……。 「だいたい、コンビニのご飯美味しくないじゃないですか! それなら駅弁の方がまだいいです」 「ああ、俺も駅弁好きだな」  朝一の電車に乗るから、売店が開いてないので買えない。 だからこそ、余計に食べたくなるんだよなあ。 「先輩、も一回、言って下さああい。駅弁好きって」 「は? 駅弁好きだけど」

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