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第65話

「三年の先輩いるじゃん、あの熊谷先輩だっけ?」 「!?」 クラスに入ってきた女子生徒が、先輩の名前を口にしながら入ってきた。 同じ電車通学らしい。 「駅員さんとサラリーマンがすっごくあの先輩にぺこぺこ謝ってるのに、先輩ったら顔色一つ変えなくて怒ってたの。すんごい怖い感じ」 「えええー。あの先輩ってさあ、顔は良いのにほんとう怖いよねえ」 「そう。お姉ちゃんが三年に入って荒ちゃってから、さらに短気で気が荒くなちゃったって言ってたよう。つるんでる人たちも怖いし」 朝のサラリーマンが、先輩にお礼を言っているだけだろう。 先輩はかたくなにお礼を受け取ろうとしないだけで、照れてるだけだと思う。 それを知りもしない相手から見れば、そんな誤解が生まれてしまうなんて。 背中がゾクゾクして、下半身の熱が硬くなっていくのが分かる。 あんなにまじめで好青年なのに、顔だけでこんな誤解されちゃうなんて。 先輩が不器用すぎて、可愛くて、思わず勃起してしまった。 可愛そう。誤解されないように、僕がホテルのスイートルームに閉じ込めて飼ってあげたいぐらい、可哀そう。守ってあげたい。

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