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第66話

「こぐまー、ちこくだぞー!」 「はしれー」 「うっせ、はしってるわい!」 股間を膨らましていた僕は、次に窓の外の声に前かがみで窓辺に起った。 すると、校門めがけて入ってきている先輩が見える。 中庭を挟んで向こうの校舎が三年生の校舎で、その窓から噂のガラの悪いお友達たちが顔をのぞかせて先輩を応援していた。 「いそげー! 遅刻したらお前、まじで卒業できねえぞ」 「ぎゃははは、いそげ」 「俺、優しいから教室の時計、五分遅くしてやろっと」 「うちの教室だけじゃばれるからよお、隣のクラスもして来ようぜ」 やんちゃそうなお友達たちが騒いでいる。それを窓から見ている1,2年はおびえている様子だ。 先輩が見た目は怖いけど、友人に慕われていて友達が多いって素敵だなって思う一面だと思うはずが皆、おびえていた。 信じられない。僕なんて、あの駅から走ってきた先輩の蒸れた脇に挟まって死にたいって思うぐらいきゅんきゅんしてるのに。 一般人には先輩の魅力が分からないなんて、信じられない。

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