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第68話
「先輩、とっても格好良かったんです。ばばって抱き上げて、倒れたサラリーマンもすっごく感謝していたんです」
「まあこんな可愛い生徒がそう言っているなら、本当でしょうね」
校長―――!
エルボーしたくなるぐらい見かけで判断している校長に殺意を思い浮かべながらも、明昌が俺の服の裾を掴んでくいくいとした。
「へへ。ほめてください」
「お前……本当、その顔は得だよなあ」
「ああ。先輩の汗のにおい。あああ。三日お風呂に入っていない汗まみれの先輩を舐めたい」
「きっしょ。ひく。きっも。お前離れろ。はな……離れねえな!」
ナメクジのように背中にぴったりと張り付いた明昌が、俺の背中の匂いを、思いっきり吸い込んでいた。
最悪なぐらい気持ち悪い。
誰かこいつを隔離しろ。
「おーい、正義のヒーロー、こぐまー」
「良かったな。可愛い後輩のおかげで」
三階のクラスから、面白がってこちらを見ているのは同じく元バスケ部の大事な仲間たちだ。
「おい、俺は教室に戻るから、離れろ」
「まって。先輩の汗を全部吸い込むまで待って。というか、汗だくのタンクトップ、脱いでください」
「お前、三回ぐらい死ねよ」
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