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第71話
「先輩のいーじーわーるー!」
「はん。そんなほっぺ膨らませてかわい子ぶっても俺には効かん」
しっしっと追い払うと、うちのクラスで一番の美女グループが黄色い声を上げた。
「やーん。可愛い。ハムスターみたい」
「先輩が慰めてあげようか?」
「明昌くんなら可愛いから三年の教室に来ていいのよ」
「おい、お前ら!」
何を勝手にきめてるんだ、と文句言おうとすると、思い切り睨まれた。
「ここは部活じゃないのよ。暑苦しい精神で後輩をいじめないで」
「こんな可愛い弟ができて何が不満なのよ」
「……」
お前らみたいな美女に抱き着かれても、表情一つ変えず慣れた様子のそいつが気に食わねえんだよ。
俺より立派な雄の象徴を持っているしな。
「まあまあ、そう怒るなよ、こぐま」
「今キレても、女子には勝てねえよ」
「それよりプリント一緒に解こうぜ。机合体しよ」
俺を慰めるように、集まってきたダチに泣きそうになる。
そうだった。俺にはこいつらがいる。
「よーし。机合体」
「六個の机に八人でいっか」
「……僕も先輩と合体したい」
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