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第74話
こいつ……こいつと一緒にいると女の好感度が上がるのか?
「先輩、寝るんですか? 寝ないならこの焼きそばパン渡しに行きましょうよ。先輩、聞いてます?」
俺の視界に入ろうとちょろちょろする明昌。
その明昌の頭をなでながら喉の調子を整えるように、『ううん』と咳払いした。
「仕方ねえな。可愛い舎弟のためだ。ちょっと待ってろ」
「……先輩」
「え、こぐまくん、ちょっと素敵」
いける!
これはこいつを利用できる!
こいつを可愛がっていたら、俺の好感度が勝手に上がってくる。
女なんて面倒くせえって思っていたけど内心じゃあ早く彼女ほしいとも思っていた。
これは、こいつ、利用できるんじゃねえか。
俺の心の中の悪魔が、笑っている。
天使が必死で止めようとしていたが、一緒に屋上へ上がっていく中、やつがぶりっ子をやめた口調で俺に話しかけてきた。
「舎弟と射精って、間違えそうじゃないですか?」
下品な言葉に、俺の中の天使も『殺れ』と親指を突き出してきた。
分かった。俺はやる。こいつを利用してやる。
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