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第81話

「炬隈くんっ」 「俺は別に足が悪いわけじゃねえよ。それは抱きかかえられたえーっと樹木さんだって知ってんだろ」 「でも痛みがゼロではないのなら、是非私に君の足を癒させてくれ」 引きそうにないおにーさんが面倒になってきた。 「あー、じゃあ一回だけ足のマッサージに行く。いつでもいいんだろ?」 「もちろんです。明日なら学校まで迎えに来ます」 「じゃあ明日。決まり。それで」 全くマッサージは受ける気持ちはなかったが、一回でも受けるまで電話や押しかけがありそうで面倒なのでそういったまでだ。 やけにいい匂いを香らせて、満足そうに樹木寺さんは微笑みながら帰って行った。 職員室から出ると、普段俺を遠巻きに見ている女子たちが群がっていた。 「んだよ」 「さっきの人って、エステサロン『metamorphose par la magie メタモルフォーズ・パル・ラ・マジー』の社長さんだよね!」 「テレビで見たことがある。家の中に温水プールと無人ピアノの演奏と、高級車10台と」 「あのエステ、全然予約とれないんだよ。めっちゃ高いのにさあ」 「えええーVIPカードって一定額払ってるお客様しかもれないってやつで」 いっぺんに女がしゃべりだすとまったく頭に内容が入ってこなかった。

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