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第82話
「わあ。先輩の足のためにエステなんて素敵。社長さんもきっと素敵な人なんだね」
「明昌……」
ほんと、どっからでも沸いてくるな。
「さあ。顔は普通なのか。いや、あれはイケメンってなるのか?」
「先輩は自分の顔に見慣れてるからー。イケメンだよー。ねー」
ほかの女子に聞くと、一斉に頷かれた。
そうか。やはりあれはイケメンなのか。
「で、絶対にエッチなマッサージだよ!」
「ぶっ」
「『さて、名前言って』とかカメラ向けられながら、会話すんだよ! 『彼氏はいないの? 最近エッチしたのはいつ?』とかセクハラ気味の言葉で襲うんだ。で、段々手が秘部に伸びて……」
「明昌、つれション行くぞ!」
変なことを言い出す明昌を慌てトイレに押し込む。
女どもがぽかーんと立ち尽くしていたので、追いかけてこないだけラッキーってことにしておこう。
「あのなあ、そんなAVみたいなこと、あるわけねえだろうが」
「え、やだ。先輩ったらそんなAVばっか見てるの? あの犬小屋みたいな家でどうやって見てるの? ヘッドフォンで携帯? 週になんか――」
「お前の質問の方が変態だ、バカ!」
ごんっと頭を殴ると、良い石頭だ。俺の手も少し痛くなった。
「お前みたいな気持ち悪いホモがそんなにかんたんに世の中にポロポロいるかよ」
「いるね。あの人、37歳で独身だよ? 年商32億円のエステサロンのオーナーが37歳で独身とか絶対にホモ。碧眼で身長は先輩といい勝負。筋肉はないけどがりでもない。外国人とのハーフならちんこだってでかいはず。なのに」
「……なんか、お前ってすぐに下ネタになるよなあ。やめろよ」
トイレから廊下を見ると、女子の気配がないので出ていこうとしたら手を掴まれた。
どこからその力が出るのかって程強く、掴まれた。
「下ネタじゃないよ。僕が言いたいのは、先輩の周りは狼だらけってことだよ」
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