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第83話
「ぷ。狼だらけって」
一番狼みたいななりの俺の周りに狼がいてどうってんだ。
それに狼よりやっかいなのは羊の振りをしている明昌みたいなやつだ。
「僕も行く。僕もそのエステ、いく。友達一人ぐらいいいでしょ」
「……いいけどよお。お前みたいに下心ねえ、ただのお礼に対してその警戒心はなんだよ」
「じゃあエロいことされたら、僕が正しいからね。僕の命令に従ってもらうから」
可愛い顔で腕を組み、俺をにらんでいるつもりらしい。
そこまで言われたら、面白くなってくる。
「ああ。エロいことはされねえ。されなかったら俺の言うことを聞いてもらうからな」
「なんですか。皮は剥いてあげたから、筆おろし? それとも女の子が喜ぶテク? あ、エッチな女の子紹介しましょうか? まあ浮気したら監禁するけど」
「……お前、ほんと、頭最高におかしいよな。ある意味すげえは」
褒めたくないが感心する。
「僕だって、もっとクールで冷酷で快楽と下半身だけで生きていくと思ってました。でも本気の恋ってやつの前では、僕だってのぼせ上ったただの雄なんです」
「ようわからんが、まあまともな思考じゃない自覚はあるんだな」
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