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第84話
次の日――を迎える前に俺は寝不足だった。
まさか、あのまままた明昌が俺の家に泊まりに来るとは思わなかったからだ。
流石に二日も塩分の高いラーメンを食わせたら、あのつるつるの肌がニキビだらけになるかもしれんと、弟三人をつれて近くの食堂に行った。
30年の歴史がまんま店に現れている(汚くて、古い)が、味だけはうまい飯。
揚げ物を頼むとついてくる煮物がまじでおいしくて、しかもキャベツはお替り自由。
俺は鯵のフライ。明昌はとり天、ガキたちはハンバーグを頼み、煮物は筑前煮。
腹いっぱいのところ、同じ風呂に入ろうとしたり、俺の脱いだパンツを急いでカバンに入れようとしてガチの喧嘩に発展したり、添い寝してほしいとか言ったり、ラメ入り赤のビキニパンツでうろうろしたり。夜這いしてきたり。
おかげで俺は寝不足で、授業中しか眠れなかった。
眠い目をこすり、校門まで歩いていくとリムジンを見つけた。
真っ白な、俺の顔が映るような輝くリムジン。
そのリムジンから樹木寺さんがこれまた真っ白なスーツで出てきた。
真っ白なスーツなのに真っ赤なネクタイっでセンスどうなんだろう。
「やあ、私の可愛いバンビ――ひいっ」
「バンビーノって言いたかったのか、バンビちゃんって言いたかったのか知らねえが、俺を見ろ。この肉体を」
ふんっと腕に力を込めて筋肉を見せるが、樹木寺さんは目を見開きふらふらと俺の顔を触った。
「この目の下の隈、どうしたの」
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