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第85話

「寝不足だ。授業中しか寝てない」 「オーマイガー!! 唇がかさかさだ」 「あー、まあな。昨日キャベツ食べたんだけどよお。家がラーメン屋だから脂っこいもの多いかも」 お腹すいたらラーメン食ってる気がしてきたぞ。朝は油でいためたウインナーと、食パンにバターたっぷり塗って食べたし。 「それはいけません。今日はマッサージだけでしたが、ぜひエステの方も受けてください」 慣れた手つきで俺に車のドアを開けるのには驚いた。 これが大人の男ってやつか。 「あんた37歳にしては若いよな」 「ええ。少し仕事が立て込むと年齢的にすぐに倒れてしまいますが、美の研究だけは怠っていません。―-ある液体を飲むと、体がいきいきするんです」 「……へえ」 生き血かな。 サロンに来た女を眠らせて片っ端から血でも啜ってるんじゃねえかな。 車に乗り込むと、寝転ぶくらい広く、そしてテーブルには高そうな水とフルーツが置いてある。 この人、こんな健康的で金持ってそうなのになんでこの前、駅でふらふら倒れてたんだろう。 「待ってー。僕も乗ります」 「あれ、あのキュートな子は」 「……舎弟です」

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