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第90話

「うおおおおおおおお」 「ここが痛いの? じゃあここが悪いんだろうね。あと、ここ」 「ふううううううううっ」 「あー。内臓もちょっと悪いんじゃないかな。若いのに」 扉の向こうに、痛みで悶えておる先輩がいる。 先輩がそこにいる。 入りたいのに鍵が閉められてる。くそう。 「あー、痛い。おま、恩人にもっと優しくしろ!」 「はいはい。終わった後でね」 「くっそ。これ、すげえ痛い。エステってこんな痛いものなのか?」 「君のはエステだけじゃないよ。足の故障部分の治療もあるしね」 「でもよお、痛いし、この格好恥ずかしいし」 恥ずかしい格好の先輩、見たい。この鍵はどこだ。 どこから開けられるのだ。 先輩の痛みであえぐ姿が、扉一つ向こうで繰り広げられてるって言うのに。 でもエロい雰囲気はないみたいだから、先輩にはちゃんとしたエステで、僕にだけ接待だったのかな。 「あのよ、悪いけどもうこれ取ってくれねえ?」 「でも全然油がとれてないんだよね。刺激してみようかな」 「……もう汗で流れたんだよ」 ダンッ 気づけば僕は、我慢できずにドアをたたいていた。 「先輩、今すぐこのドアと心のドア、両方開けてください! 開けてください!」

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