90 / 155
第90話
「うおおおおおおおお」
「ここが痛いの? じゃあここが悪いんだろうね。あと、ここ」
「ふううううううううっ」
「あー。内臓もちょっと悪いんじゃないかな。若いのに」
扉の向こうに、痛みで悶えておる先輩がいる。
先輩がそこにいる。
入りたいのに鍵が閉められてる。くそう。
「あー、痛い。おま、恩人にもっと優しくしろ!」
「はいはい。終わった後でね」
「くっそ。これ、すげえ痛い。エステってこんな痛いものなのか?」
「君のはエステだけじゃないよ。足の故障部分の治療もあるしね」
「でもよお、痛いし、この格好恥ずかしいし」
恥ずかしい格好の先輩、見たい。この鍵はどこだ。
どこから開けられるのだ。
先輩の痛みであえぐ姿が、扉一つ向こうで繰り広げられてるって言うのに。
でもエロい雰囲気はないみたいだから、先輩にはちゃんとしたエステで、僕にだけ接待だったのかな。
「あのよ、悪いけどもうこれ取ってくれねえ?」
「でも全然油がとれてないんだよね。刺激してみようかな」
「……もう汗で流れたんだよ」
ダンッ
気づけば僕は、我慢できずにドアをたたいていた。
「先輩、今すぐこのドアと心のドア、両方開けてください! 開けてください!」
ともだちにシェアしよう!