93 / 155
第93話
飲んだ瞬間、用なしだと言わんばかりの行動に殴りたくなる。
こいつ、俺に恩返しがしたいわけじゃなく、健康療法で飲みたかっただけか。
まあ、健康療法ならエロじゃないし、足のマッサージもちゃんとしてくれたし、今回は俺の賭けは勝ちのようだが……世の中には明昌のように羊をかぶった変態や、樹木寺さんみたいに年を取らない美形とか、謎の療法があるのだと少し驚いた。
「先輩、無事ですか!」
「うわ、入ってくるなよ」
シャワーを浴びて体を拭いていると同時に、明昌がカギをあけて入ってきた。
手には、細いワイヤーを持っている。開けたのか。
「てか、お前、なんちゅう格好で廊下にいたんだよ」
紙のパンツ一枚で、針金つかって鍵開けるとは変態か。
「先輩、やっぱこのエステ、変ですよ。大丈夫でした?」
「すっげえ足のマッサージは痛くて、油の搾乳は死ぬかと思ったけど、まあ初エステだからこんなもんなのかなって。てかよお」
パンツを穿きながら明昌をにらむ。
「お前、女のエステシャンにナニされてたんだよ。すげえ気持ちよさそうな声出してたよな。何されたんだ。あ? ナニされてたんだよ」
うらやましい。俺なんて痛い搾乳と、バキュームフェラを男にされてたんだぞ。
それに比べてこいつは可愛い声でイチャイチャしていた。
「僕の方は、痴女だった」
「は?」
「怖かった。女の人ってすぐあんなことするんだもん。経験のない先輩の方がやっぱ好き」
うおおお、何をされたのか言えよ。
俺も痴女がよかった。
「おや、私の店のエステシャンがお気に召さなかったですか? 申し訳ありません」
ともだちにシェアしよう!