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第95話

「うるせえな、腹が空いたんだよ」 「だったらそのバナナ、噛まずに口の中でズボズボさせてよ!」 「意味わからねえからいやだよ」 半分かじると、『ひい』と情けない声と共に股間を押さえやがった。 リムジンはどんどん夜に向かって走っていっているように見える。 どんどん外の風景が流れて、ネオンの流れ星をボーっと眺めていしまう。 「で、お前は家に帰るんだろ?」 このままだと20分ぐらいで家に到着するので、のんきにそういうが明昌はチェリーを食べながら首を横に振る。 「いえ。僕は先輩の家に一緒に帰りますよ」 「は? なんで?」 「一緒に帰るって、新婚臭くていいですよね」 「いや、なんで。いい加減家に帰れよ。着替えとか不便だろ」 「大丈夫です。今日は少し私服を持ってきましたから」 紙袋を俺に見せてから、明昌は怪しく笑う。 「少しずつ、先輩の家に僕の私物を置く予定ですので」

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