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第100話

「ああ、ボイラーな。あれ古いからやべえよな。新しいのに変えないと」 トタン屋根の古い風呂は、俺が生まれる前からある。 ボイラーだって何十年と年季が入っている。 が、うちはラーメン屋始めた時に、店内から器具から機械から何まで借金して揃えているので金がない。 いくら借金があるのかは親父が言わないからわからねえが、風呂を綺麗にしてくれないあたり金がないのは明白だ。 「というか、お風呂自体ちょっと……今時マーライオンの口からお湯が出ないお風呂とか」 「お前基準で話すな。まあ、銭湯でもいいし、壊れたら壊れた時だな」 「そうですか……」 俺の口元のご飯粒をとって食べながら、いつの間には妻みたいな口調で話しだすので驚いた。 こいつ、ナニ、おれの家に馴染もうとしてんだ。 「おい、さっさと学校行くぞ」 「あ、僕はお洗濯ものを干してから……」 「行くぞ!」 ご飯の片付けもそこそこに、俺は明昌を着替えさせて家を飛び出したのだった。 このままでは俺の青春が脅かされてしまう危機を感じて、こいつを利用するべきか距離を置くべきかは、俺のバカな脳みそでは分からないでいる。 なぜなら、本当に襲われそうになっても、俺の方が強い自信がある。 卑怯なことをされない限り負けないからだ。 「先輩、僕、駅弁買ってから行きますよ。食べたいって言ってましたよね」 「……いい。高いから偶にご褒美で食べるのがいいんだよ」 「じゃあ、たまに僕が買っておきます。今日がその、偶にの日です」

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