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純情野郎は、鈍感なのです。
Side:熊谷 炬隈
「……すんません」
「いいよ! 全然いいんだよ! ウエルカムだよ!」
行く充てもなくふらふらと歩いていたら、樹木寺さんの店の前を通った。
ちょっと中を見ただけなのに、運よくなのか悪くなのか、樹木寺さんがいて飛んできてくれた。
『どうしたの……っそんな精力なさそうな顔して!』
心配の仕方が少しおかしかったけど、散々排出したので精力がないのは確かだった。
『家に帰りたくねえから、カプセルホテル泊まろうかと思ってよお、金もねえし、制服こんなんだし』
さきほど明昌に散々好き勝手された俺の体を見て、察したのか樹木寺さんが自宅に招いてくれた。
健康療法のためにたまに人を泊めるらしく、ホテルみたいな綺麗な部屋を貸してくれた。
「クリーニングに制服だしてあげるよ。君に私の服は合わないからバスローブしかないけど、クリーニング終わるまでここにいていいよ」
「まじっすか……やべえ、甘えそう」
「いいよ。このカピカピになったズボンを見たら、分かる。辛い目にあったんだろ」
「……」
ベットに座っていた俺の隣に、樹木寺さんは座ると、そっと手を握ってくれた。
「話したくないなら、話さなくていい。君は魅力的な男の子だからね。モブ姦ぐらいされてしまうだろう」
「されてねえよ!」
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