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第117話
「それで……君がもし元気になったら、また飲ませてもらってもいいだろうか」
「ぶっ」
美味しい鰻丼をお代わりまで用意してもらえて、幸せだったが、その言葉に吐いた。
「やっぱり若くて経験の少ない男の子って、ぷりぷりしてて飲み込めないぐらい濃厚で最高なんです。肌も艶々だし」
「……確かに肌は綺麗だけど」
鰻食べた後に言うのはずるい。
ここまでされて、俺も自分で処理するより楽で、しかも樹木寺さんの健康療法の手伝いもできて恩返しになるなら、別にいいかなって思うじゃん。
「まあ、いいっすよ。クリーニング終わるまでに俺が出れば」
「も、もちろんだよ。よかったら私、前立腺マッサージとかできるよ。する?」
「さすがに今日はいいっす」
色々あって疲れたし、どうにも今日はもう食べたら寝たい。
家にも帰りたくないしアイツの顔も見たくない。
樹木寺さんの、大人で知的で変態じゃない紳士的な対応に、心が癒されてしまう。
「じゃあ、お布団入って寝るといいよ。一応部屋にはシャワー室もあるし。冷蔵庫に飲み物もあるから好きに飲んでいいから。私は明日、仕事でいないけど出前は好きに食べていいよ。なんなら私が選んでいいなら明日のランチは届けさせるよ」
「……すげえ」
俺に何も要求してこないのに、色々してくれる。
これだよな。大人の、対応ってこれだよな。
全く嫌悪しない彼の対応に俺も頷きながら、三杯目のうな重に手を伸ばしたのだった。
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