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第125話
今日は、肉寿司だとテーブルに並べられた松坂牛や桜寿司をみながら、まるでエステのメニューを説明するかのように、いきなり言われた。
「あーと、ヒモ?」
「それでもいいよ。マンション買ってあげるし、精力つくご飯も用意してあげる。本番はしないから、私に飲ませて」
手をわっかにして口の前持ってきて、フェラのポーズをとる樹木寺さん。
今までで俺が出会った中で一番紳士で、一番イケメンで、一番金持ちなのに残念な人だ。
「うーん。健康療法だから付き合ってやったけど、やっぱそーゆうのは愛ある行為じゃん。恋人とするのが一般的だと思うんすよね」
肉の寿司をつまみ、甘垂れを付けて食べてみた。
口の中で溶けて、驚くほど甘い。
上手すぎて目を見開いた俺を、樹木寺さんは悲し気に見つめる。
「でも飲みたいから恋人にしてって、体目当てみたいじゃないか」
「愛があれば、相手だって飲ませてくれるっしょ」
「でも、なんか愛を利用しているみたいで、私は嫌だなあ」
「……あんたもロマンチックなんですね」
変な性癖だけど、この人が恋人に対して紳士的な人なのだとは理解できた。
どっかのだれかと正反対だ。あいつがこんな性癖だったら、俺は今頃監禁され毎日、精力付けさせられ無理矢理飲んでたに違いない。
「そういえば、今日は家に電話しなくていいの?」
「あー、充電切れてた。充電器貸してくんないっすか」
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