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第135話
「こんな時、私なら彼の肩を抱くよ。高校生の彼は、きっと今不安だ」
救急隊員と何か話している先輩の背中を見ながら、僕もそれを思うと下を向いてしまう。
「彼が罰してくれッといったが、本当にそこで酷いことしたら、駄目だからね。君が本当に彼を好きなら、――ごーかん紛いなことは駄目だよ?」
なんで僕がエッチなことしようと思っていたに気づいたんだ。
まあ九割そんなことしか考えていなかったけどね。
恋愛って回りくどくて面倒くさくて、いやだな。
体だけの関係が楽だな。
男の体っていやだな。
慣らすのが女より大変じゃん。
挿入しただけで気持ち良くならないじゃん。
自分勝手に腰動かしても、女みたいに縁起してくれないし、勝手に気持ちよくなって喘いでくれないじゃん。
だから、今がいい機会だ。
燃え上がった火が消火された今が、いいチャンスだ。
こんな面倒くさい相手を好きになってしまった自分を、さっさと消してしまえばいい。
弱っている先輩を抱いて終われば、いい。
優しくしなくていい。苦しんでいるのを気づかず、手荒く抱いて終わればいい。
出せばきっと満足する。
だから――。
「先輩っ」
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