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第136話

Side:熊谷 炬隈 怒りで体が震えていた。 自分への怒りで、だ。 俺は自分が未熟なばかりに、明昌から逃げた。 アイツの顔を見たくないと、家に帰らなかった。 あいつが、自分の何倍もする親父を煙が立ち込めた家の中から懸命に引っ張り出そうとしている姿を見て、胸がえぐられそうだ。 あんな、あんな変態野郎なんかに親父を助けられた。 そんな黒い感情が一瞬だけ自分に浮かんできたのも許せねえ。 あいつは、自分だって危険な中、命をはってくれたのに。 もしかしたら、親父は後遺症が残るかもしれないと言われたが、こればかりは今から病院で目が覚めるまで分からないと言われた。 大学受験はあきらめて、スパッと就職に向けてがんばれそうだからこれはこれでいい。 でも。それでも。 自分の弱さに嫌気がさす。 「先輩っ」 ふわりと後ろから抱き着かれたが、俺は振り返れなかった。 「弟たちを頼むって言ったろ」 「弟くんたちは大丈夫です。ここで寝たら流石に怖いだろうって、――口を出した樹木寺さんがホテルに泊めてくれました。ああ、口を出したじゃないか、口に出してもらった樹木寺さんがね」 「何が言いてえんだよ」

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