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第139話
「そうですか」
「お前はどうしてんだ?」
「家に帰ったり、お姉さんの家に点々としてます。また戻っただけです」
なぜか明昌は自分のことになると、言いたくなさそうに早口で言い捨てる。
聞いてほしくなさそうだし、気まずくなるからあんま聞けない。
「なんか、あんのか?」
「え?」
「なんか俺に話したらまずいことでもあんのかよ」
そんな風に壁を作られたら、正直面白くない。
それにまた恋人でもない女性と不特定多数遊んでるのもどうかと思う。
このままいくとこいつの将来は、ヒモかホストか。
「まずいことがあるのは、先輩じゃないですかあ?」
「あん?」
「そういえばおじさんは左手どうです?」
「不自然に話をそらすな」
じじいは意識は戻ったものの、2,3日ぼーっとしていた。
頭がぼけたのか色々と覚悟したんだけど昨日いきなり『左手が動かねええええええ』と飛び起きやがった。
クソ元気なんだが、もしかしたら左手に麻痺の後遺症が残るかもしれない。
脳に酸素がいかなくなってて命の危険だったのだとしたら、無事だっただけでラッキーなんだけど、まあ、うちは小学生のガキが三人もいるからな。
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