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第140話
乗り込んだバスは混んでいたので、二人で並んで立つ。
その間に親父の今後についてや、ラーメン屋の中の掃除や、そして俺の今後の進路についてぽやぽや悩んでいた。
すると、トンッと明昌の手が俺の尻にあたった。
「おい」
「ああ、ごめんなさい。揺れたから」
「……っ」
こいつ、最近手を出してきてないと思ったら、なんだよ。
バスの揺れに合わせて痴漢するつもりか。
「あ、安心してください。今、絶賛、心のチンコ萎え萎え瞬間なんで」
「声がでかい」
座っている奴らに筒抜けだろうが。
「先輩を見ると、大好きなのに心が根元からぽきっと折れちゃうというかなんというか」
「そうか」
「僕、処女キラーだったのかな。いや、百戦錬磨みたいな女の方が楽なのになあ」
「……それは知らん」
でも寝ている俺を机に縛り付ける奴が、心のチンコが折れたってことは、俺自身に飽きたんじゃねえのか。
こいつ、そんなのも気づかないのかよ。
「でもまあ痴漢しないと不安みたいなんで揉んどきますね」
「両手で揉むな!」
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