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第145話

「俺は、親父が隠し持ってるエロ本みたいな巨乳の女がいいんだよ!」 「あんだ!? てめえ押し入れの中漁ったな」 「ふん。さっさと退院しねえと更にあさるからな」 親父はまだ何か言いかけたが、動かない左手の方を見て項垂れた。 「ラーメン屋はもう閉店させるしかねえかもしれねえ」 「は?」 「こんな腕になっちまったら、依然と同じスピードは無理だ」 「……だけどラーメン屋の機材とかまだ返済終わってないだろ。どうすんだ」 「店売って、家も売って、ボロアパートでなんか職でも見つけて……」 弱気な親父の発言に頭が痛くなる。 そんないまさらこんなクソジジイが転職したって弟三人の生活費を稼げるかも怪しい。 さらに貧乏になるじゃねえか。 今の生活でも周りの助けがないとカツカツなのに。 「あとは俺が死ねば保険金が」 「あほ」 「おとうさまのばかー!」 入口に立っている明昌が、こんなガチムチ髭親父のことをお父様とか呼びやがった。 「お金の心配なら、なんならあの家の跡地に僕の実家のラブホでも建てたらいいじゃないか!」 「あほ! 商店街の真ん中にラブホなんか建てるな!」

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