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第154話
それじゃあ今までと何も変わらねえじゃないか。
いや、変わったらいけねえのか。
変わらないといけないのか。
「先輩?」
俺はこいつが変態で、腹黒く、自分の顔がいいことを餌にうまく生きてきたことを知っている。
それだけを知っていたら、ただのうんこ野郎で、好きになる要素なんて一ミリもない。
親父の伸びた鼻毛よりも、ない。
だけど、俺に好かれたいっていう理由から、自分の倍以上する親父を煙が渦巻く中から引きずって助けてくれた。
「……俺が嫌なんだよ」
だから、正直に言わねえといけない。
「俺が嫌だって言ってるんだから、他の奴に咥えさせるんじゃねえって言ってんだよ」
こいつみたいな自分勝手な言い分。
自分でも情けなくて頭が痒くなって掻いてしまった。
「先輩っ」
「うわ」
「はあああん。先輩、男らしい。抱いて」
抱き着いてきた明昌の顔を引きはがそうとすると、冷たい。
「もしかして、お前、泣いて……」
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