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睨まれたけれど、そんなの無理に決まっていた。
「此処まで――立てなくなるまで無理させるつもりはなかったんだが、お前がなかなか素直にならないから。怖がるなよ」
まるで俺が悪いみたいな言い方で、俺を抱き起こすとそのままお姫様抱っこで風呂場へ連れて行かれた。
途中、太ももをぬるりとしたものが伝い、思わず目をぎゅっと閉じる。
羞恥で消えてしまいたくなる。
そのままシャワーの前で下ろされても、ふらふらの腰では立てなくてペタンと座り込んでしまう。
「昨晩の吐きだしたモノを掻きださないと腹を下すらしくて、痛いと思うが腰を上げてくれないか?」
「……」
「――じゃあ、足を開け」
「……」
鉛の様に動かない身体を、抱き締めながら俺は首を振る。
「身体が辛いのだから、素直に甘えておけ」
「も、ゃです。ひ、酷いことや、です。しないでください」
排水溝に流れて行く水を見ながら、涙も溢れて来た。
「酷い事ではなくて後始末だ。もういい」
立花さんは俺の後ろで座ると、そのまま後ろから俺を抱きしめて抱え上げると膝の上に俺を下ろした。
そして乱暴に片足を持ち上げて立たせるとシャワーの下へ進んで行く。
「や、やだ、やだやだやだやだ」
「ちょっと腫れてるが傷にはなってないようだな。すぐ終わる」
「――――あっ」
立花さんが足を持ち上げたまま、もう一方の手の指を侵入させてきた。
シャワーの音にかき消されても、その屈辱的な行為に死にたくなる。
「もういいだろう、いつまでも泣くな」
冷たく切り捨てたような言葉に、悔しさと恥ずかしさと恐怖と怒りで身体が震えてしまう。
でも俺は今はこの人に命を捉えられたままなんだ。
全部、――この人が言う事に従うしか生きる方法はないんだ。
「……そんなに嫌なら自分で洗えば良いが――俺はすぐに動けるぐらい優しく抱いたつもりはない。動けないだろうから黙って大人しくしてたら終わらせる」
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