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昨日よりも口数が多いのは、昨日無理をしたのを少しは悪いと思っているからなのだろうか。 でも、この冷たい人からそんな、血の通った優しさがあるとは思えないけど。 だまって抱えられたまま、タオルを身体に巻かれると立花さんはすぐに戻って来てスーツを二着俺に差し出した。 「俺はこっちの紺のチェックのスーツがお前に合ってると思うが選べ」 黒のスーツに、デザインがちょっとだけ変わっている紺の薄いチャックの柄のスーツを差し出された。 これ、俺のサイズにピッタリ? 立花さんは、説明もなくネクタイやネクタイピン、靴にYシャツと次々に洗面台に並べて行く。 「決まったか?」 「あ、の、貴方が好きなように……」 まだ呆然としている俺に、立花さんは紺のスーツを取ると、巻いていたタオルを乱暴に足元へ落とした。 「足が辛いなら、俺の服を掴め」 腰に力は入らなかったけど、頭を振った。 立花さんが舌打ちしたから怖くて下を向いたら、Yシャツを背中にかけて、ボタンをかけてくれた。 そのままネクタイも締めてくれる。 きゅっと首元にネクタイを締める瞬間怖くて目を閉じてしまうと、また立花さんは苛々した様子で舌打ちした。 暴力を受けたわけじゃないのに、無理矢理支配する暴力的な雰囲気が俺を委縮させる。 そして、当たり前の様にズボンを履かせてくれたけれど、俺は両手で止める。 「あの、下着履いてない、です」 「――それまでは用意していなかった」 「お、俺が履いてたのは何処にありますか?」 「ぐちゃぐちゃだから履けない」 「……」 スルスルと肌にダイレクトに当たるズボンに顔を横へ向けてフルフルと耐える。 「そんな顔をするな。仕事場で襲うつもりはない」 仕事、場――? 「お姫様抱っこか腰を支えてやるから自分で歩くか、お前が今考えるのはそのどちらかだ」

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