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「あっ」 気づいたら箸を落としていた。 震える右手を必死で左手で抑えても――左手も震えていて。 怖いのに、背中に甘い痺れが走る。 嫌なのに、恐怖以外も思い出される。 立花さんは確かに自分勝手に手酷いことばかりしたけれど、――俺の思考を蕩けさせるような甘い痛みも探しては植え付けていたから。 「容赦しない。お前がお前の命を蔑にしようとしたから、俺は許さない」 「……」 「お前は――アレを着て俺の花嫁にする。そう決めた。それが遺言だから」 「ゆ、いごん?」 「食べたら風呂に入ってベットで待ってろ」 「――っ」 立花さんは既にカレーを食べ終えていて、ひたすらパソコンに資料を打ちこんでいた。 俺に必要最低限の言葉しかくれなくて、それすらも俺には足りないのに。 ベットに入ったら、また昨日の続きが待っているのかと思うと、怖かった。 でもそれは、あの歩道橋で命を捨てようとした代価、罪、そう必死で思おうとしていた。

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