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Side:立花
真夜中、腕に抱いていた者の感触が無くて飛び起きた。
昨日はほぼ一睡もせずに榛葉を一晩中抱いていたので、――あいつが安心するように寝たフリするはずが本当に眠ってしまっていた。
起きると榛葉は壁際のベットの隅っこに移動して、自分を守るかのように自分自身を抱きしめ丸まって眠っていた。
「……」
お前の全てが知りたいんだ。
寿司が好きだというのが分かったから、明日から榛葉の分だけ用意しよう。
今日みたいに、俺を否定するような悲しそうな目をされたくないからもう食べれないほどは注文しないようにしなければ。
お前が驚くってことは、多分、俺はお前にとって普通じゃない、異質なやつなんだろうな。
でも、榛葉のほうから飯を一緒に食べようと言ってくれて嬉しかった。
抱きたいよ。
滅茶苦茶、抱き締めたい。
奥へ奥へ入って、一つに溶けてしまえばもう離れなくて済むだろ。
お前の可愛い声も、泣き声も、独り占めしたい。
毎日、傍に居るなら触れたいに決まっている。
なのに、お前の身体は俺を見ると強張って震える。
赤く腫れた目も、誘うように濡れた唇も、俺を怖がって見ている。
でも俺はお前が安心するような言葉が思いつかなくて、抱き締めてただただ伝えることしかできない。
次に抱く時には、
少しぐらい優しく出来れば――。
お前は俺を好きになってくれるのだろうか。
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