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リビングから寝息が聞こえてきて、寒田さんは本当に疲れていたみたいだった。 寝室の椅子の上にタオルケットが置いてあった気がするからかけてあげようとして、名刺に手を止める。 そうだ。 立花さんに連絡しよう。 タオルケットを持って家じゅうをウロウロするが、電話機は見つからなかった。 俺のジーンズはどこだろ? あの中になら携帯とか財布が入っていたんだけど。 だけど、ウロウロ探しても俺の身の周りの物も何一つ見つからなかった。 「……」 仕方ないか。 俺は今、立花さんの所有物みたいなものだし、自由はほとんどないから携帯なんて使うの許されるわけないし。 気を取り直して、タオルケットをかけにいこうとしたら、また玄関が乱暴に開いた。 「あっ」 玄関を開けたのは、しかめっ面の立花さんだった。 だけど、さっき分かれた時と様子が違った。 首元に赤い血痕が付いている。 「立花さん、け、怪我されたんですか!?」 俺が駆け寄ると、立花さんは舌打ちした後横を向く。 そして壁にコートがかけられてるのを見て、怪訝そうな顔をした。 「緑が来てるのか?」 「は、はい。すいません、来て今、ソファに眠っています」 首元の赤い線が入ってる。 血が流れていないのなら、浅かったのかもう血が止まったのか。 でも、治療した方がいいはずなのに、立花さんは不機嫌そうな顔でタオルケットを奪った。 「その姿を緑に見せたのか?」 「ご、御友人に申し訳ないですが、急にドアを開けられて」 「見せたのかと聞いている」 低い声で、非難するように言われたら固まってしまう。 怒ってる。 鍵を持っているぐらい親密な友人の前で、俺みたいな奴がこんな格好で対応してしまったから。 「ごめんなさい」 俯いて謝ると、立花さんは舌打ちして俺の腕を掴むと、寝室のドアを開けた。 「立花さっ うわっ」 寝室のベットへ投げ飛ばされると、そのまま覆いかぶさって来た。 「お前のその姿を見て良いのは俺だけだ」 「ご、ごめんなさ――んんっ」 言い終わる前に、唇を塞がれて息も吸えないような熱い口づけをされる。

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