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二人が争うのを、タオルケットを抱きしめながら聞いていてどうしていいのか分からずにおろおろしてしまう。
ただ、分かったのはやはり。
誰から見ても俺は、立花さんに大事にされていないということ。
それどころか――俺は怯えて情けない様子だったんだ。
「とにかく、ゆかりさんの遺言の件の彼ならば俺が保護する」
「駄目だ! お前には渡さない」
「お前と違って俺は彼を大切なゲストしとて扱う」
「俺が大切にしてないとでも思っているのか!」
今にも寒田さんに殴りかかりそうで、思わず俺は飛び出していた。
寒田さんの前に。
「俺が、悪いですから、どうか止めてください」
両手を広げて制すと、立花さんは目を見開いたあと、大きく拳を壁へ叩きつけた。
そのまま何も言わずに、部屋を飛び出してリビングの方へ向かっていく。
その後ろ姿を見ながら、へなへなと腰が抜けて行くのを感じた。
「君が『愛沢 榛葉』さん?」
寒田さんの言葉に、俺はゆっくり頷く。
「こんな綺麗な子に、――あいつは本当になんて奴だ。申し訳ありません。いつから此処に居るんですか?」
「三日ほど前に、俺のせいで立花さんのテナントとマンションが火事にあってしまって」
「あの同時に起こって火事ですね。俺も怪しいとは思っていたのですが――仕事が忙しくて本当にすいません」
「あの」
何も分からない。
此処に連れて来られた理由も、ただ命を助けたのだからはけ口に抱かれるだけの玩具とかかと思っていたんだけれど。
この人の話では、立花さんも彼も俺に事を知っているように思えた。
「俺、その火事の賠償が払えなくて、家も無くなって、――身を投げようとしていたところを保護されたんです。だか、ら、その、確かに立花さんは怖いですし、酷いことは全くないわけじゃないけれど、今、ここで立花さんを怒らせて出て行くことなんてできません」
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